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愛と潤いのドリンク劇場『伊藤君と円先輩』103本目~106本目

小説 藤間しおん イラスト 石原理

☆ 伊藤苑に入社した天才的な味覚を持つ伊藤若葉君のドリンク探求物語。


▼103本目 『メローキイロー』


夏休み。
僕らはコカに招待されて海辺の別荘へと遊びに行く。
自家用ジェット機で向かうなんてコカらしい。

伊藤君「コカさん、ご招待ありがとうございました。
 円先輩や他の人はまだですか?」

コカ「やぁ伊藤君、響、よく来たね。
 円君達はまだだよ。座ってくれたまえ」

コカはテーブルに『メローキイロー』と『スプライテ』を置いた。

伊藤君「リバイバル製品ですね。
 日本で1983年に発売開始。
 <とっても訳せない味>っていう初代のキャッチコピーが面白いですよね。
 柔らかく、しゅわっと舌の上で細かく弾け溶ける炭酸」

コカ「昔を思い出してね。
 響とよく行った別荘に行きたくなったんだYO★
 私は響の家庭教師をしていてね。
 夏休みによく二人で別荘に籠もって勉強していたんだ。
 覚えているかい? 響」

コカはお兄様の肩にぽんっと手を置いた。
お兄様がびくっと体を震わせる。

名波「あぁ……もちろん」

お兄様が頬を染めながら俯いた。

伊藤君「家庭教師ですか」


▼104本目 『スプライテ』


コカ「あの頃の響は妖精のようだった。
 元気でいつも弾けているような少年で……そう『スプライテ』のようだったNE★
 伊藤苑に入社してからはよそよそしくなってしまったな」

名波「ライバル会社に勤めているのだから当たり前だ」

伊藤君「あぁ、だからお兄様とコカさんは仲がいいんですね。
 僕もコカさんに勉強を教わりたかったなぁ」

名波「駄目だ!」

いきなりお兄様が大声を出した。

名波「……怒鳴ってすまなかった。
 君は駄目だ」

伊藤君「お兄様?」

コカはお兄様を後ろから抱き締めた。

コカ「独占欲かい? 響。
 嬉しいな」

名波「違う。自惚れるな」

お兄様は『スプライテ』を飲んだ。

名波「妖精は……大人へと脱皮する。
 もう妖精はいないのだよ」

コカ「『スプライテ』は何度も復刻するYO★
 だが憧れが恋になったら、二度と憧れには戻らない」

その瞬間。お兄様の瞳が色っぽく濡れ、肌が輝く。
妖しい美しさ。
お兄様も誰かに恋をしているのだろうか。
激しい恋を。

ウンチク:『Sprite』の語源はSpirit(元気)とSprite(妖精)をかけ合わせたもの。


▼105本目『バヤリーズ オレンジスパーク』


僕は『バヤリーズ オレンジスパーク』を見た。
オレンジが青く深い炭酸の海へと沈んでいくようなパッケージ。
口に含むと酸っぱいオレンジがとても細かい泡と絡まり舌の上で弾ける。
ふとお兄様を見ると何かを思い出しているのだろうか。
ゆらりゆらりと宙を見つめている。
まるで堕ちていくオレンジを追うかのように。
そんなお兄様の顎にコカが指を滑らせた。
指は首筋へと流れ、シャツのボタンが外され、そっと胸元へと消えていった。

名波「……んっ!」

お兄様がびくっと体を震わせる。
お兄様とコカが美しく艶やかに絡む。
僕は真っ赤になりながら目が離せない。
お兄様はハッとし、胸元を押さえた。

名波「コカ公! 貴様、何をしている!」

コカ「伊藤君に正しい性教育をNE★
 グホッ!」

コカの顎にお兄様のパンチが炸裂した。

伊藤君「お兄様もコカさんも最高に綺麗で……堪能させていただきました」

名波「ちょっと待ってくれ!
 私が一番好きなのは君だ」


その時。


▼106本目『お生茶 スパークリング』


ビデオを持ったあさひと、希鈴が現われた。

あさひ「スクープだ」

希鈴「うふふ、好きですって。
 聞きまして? 円様」

後ろに円先輩が立っていた。

円先輩「好きって、誰が誰を?」

円先輩は僕を見た。

伊藤君「あの……」

名波「私が伊藤君をですよ、円さん」

円先輩はむっとし、他の者はぎょっとした。

円先輩「名波は伊藤君が好きなのか?」

名波「もちろんですとも。
 後輩の中で一番好きだと申したのです。
 彼は優秀ですからね」

円先輩「ああ、なる程。そうだよなぁ」

横でひっそりとコカがあさひのビデオを消去していた。

コカ「盗み撮りは没収だYO★」

あさひ「世界中のコカファンへ高値で売れたのに、残念です」

僕も欲しかったなと少し思った。

円先輩は『お生茶 スパークリング』を飲んで僕を抱き締めながら、お兄様を見た。

円先輩「名波。
 この際だから言っておくが、伊藤君は俺の恋人だ。
 手を出すなよ」

僕の心臓がどくんっと弾ける。

希鈴「おほほ、あたしは正妻ね」


http://drink110.blog29.fc2.com/へ続く

★お知らせ★
今週でCLAPコミックス拍手ページ連載の『伊藤君と円先輩』は終了となります。
来週からはブログ『伊藤君と円先輩』のみ連載いたします。
これからもお楽しみに!

そしてCLAPコミックス編集部の方達に感謝を込めて。

藤間しおん


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